開成高校

入試の傾向と対策

 

開成高校 傾向と対策 英語

形式:大問数は年によって変わる

制限時間:50分

満点:100点

 

形式は、長文読解が2題とリスニングが1題出題されること以外、年によって出題される内容・大問の個数は変わる。(平成27年以前は長文が3題出題されている。)

このように形式として決まっているものはないため、過去問をできるだけたくさん解いて、開成レベルの学力を身につけることが必要になる。理想としては、過去20年分解けると安心である。

レベルとしては、高校の文法内容・大学受験レベルの語彙が注釈なしで出題されている。そのため、中学の学習範囲は遅くとも2年生の年末までには終わらせ、指導要領外の内容は中学3年生の夏前には終わらせよう。単語に関しては、まずは塾からもらっている英単語を隅々まで覚え、それが終わったら過去問で出てきた単語を必ず覚えることに徹するのが良い。

内容としては、個性的な問題が多く、平成26年の文法問題は英和辞典から出題されている。さらに長文のテーマも独特で難易度の高いものが多い。例えば、平成27年にはてこの原理をテーマとした長文が出題されており、これを読み進めて内容を理解するにおいて、理科の知識が必要となる。この他にも科目をまたいだテーマが出題されることは数多くある。開成が1教科だけできるのではなく、5教科総合のバランスのいい学力を求めていることがここから伺える。文章量も多いので、制限時間内に解ききる集中力・高い英語力が求められる。 

 

開成高校 傾向と対策 数学

形式:大問4〜5題

制限時間:60分

満点:100点

 

 まず、必ず注意してほしいのは答案をいかに丁寧に書くかということである。注意書きにも「式や図や計算などは、他の場所や裏面にかかないで、すべて解答用紙のその問題の場所にかくこと。分かりやすい解答を心がけること。解答する際に利用する図は、ていねいにかくこと。」とある。これらを守っていない答案(字が汚い・式の羅列のみ・規定の場所からはみ出ている等)はそもそも採点対象にならず0点にされるので注意すること。数学が0点になった時点で不合格が確定する。しかし、当然初めから100点満点の答案を作れる人はいないので、分かりやすい答案を作れているかどうか、塾の先生に必ず添削してもらうようにしよう。理想は毎回添削してもらうことだが、時間対効果を考えて、答案を書くことに慣れたら、間隔を置いて定期的に添削してもらおう。

 内容の話について、大問4〜5題のうち、図形の問題が毎年2題ほど出題され、証明や作図など内容も重いものが多い。しかし、どれも数学の本質をついた問題になっている。例えば、平成26年には接弦定理の証明が大問1つ分として出題された。難関高校を目指す生徒なら、接弦定理を知っているのは当然であるが、その定理を証明を通して覚えているかがキーになる問題である。ここで受験生は2パターンに分かれる。接弦定理を証明を通してなぜそうなるのかが分かっている生徒、又は、ただなんとなく接弦定理を知っている生徒である。前者はこの問題を5分で完答できる。そして、55分を残り3問に使う。この年の数学はこの証明を10分以内に解かないと他の大問が間に合わないように作られている。つまり、ここから分かることとして、開成が求めているのは、上部の数学の知識ではなく「なぜ?」という発想を持ち、数学の本質に迫る生徒である。数学の本質とは、ただ知ってる・できるだけではなく、常に「なぜ?」の発想を持つことである。

 そのため、開成志望の皆さんは、数学に対して常に「なぜ?」を考えよう。新しく定理を習ったら、それを証明してみよう。図形に補助線を引く理由がわからなければ質問しよう。そのような視点で数学と向き合うようにすると、開成の求める生徒像に近づくことができる。

 

 

開成高校 傾向と対策 国語

形式:大問3つ構成

制限時間:50

満点100点

 

平成18年度入試から直近の入試まで、計15年間大問3つの構成が続いている。大問3つのうち、古文が大問のうち1つを占める出題が、過去10年以上続いているので、まずは古文のお話から。

 古文は、「~とはどういうこと」という傍線の言い換えの出題が多いが、古文で言い換え問題を正解するためには古文単語の暗記はもちろん、助動詞の活用や省略されている主語の補いなど、ただその一文の理解だけでなく前後の文脈、そして本文の理解が欠かせない。そのためには、前述したとおり、古文単語の暗記、助動詞の活用と接続、古文の品詞分解など日ごろから何となく古文を読むのではなく一言一句現代語訳できることにこだわって勉強することが必須となる。皆さんが取り組んでいるワークなどでも古文の単元はあるはずなので、古文が出てくるたびに全文現代語訳して塾の先生に添削してもらおう。また、2020年度、2017年度に松尾芭蕉の紀行文の出題がされているので、松尾芭蕉の作品はあらかじめ読んでおくと開成の厳しい採点基準の記述にも対応できるだろう。

 漢字の出題に関しては、論説文や小説文の大問内で毎年10点ほど配点されている。難易度は漢検2級を上限として近年は出題されているので、低学年から漢検に取り組んで3年生になる前に漢検2級までを習得できていれば受験期の大事な時間を漢字に割く必要はなくなり、同じ学年のライバルよりワンランク上の受験学年のスタートになるだろう。

 現代文の読解については、毎年大問2つで出題されており、その内訳は(論説文、随筆)(論説文、小説)であったり、(随筆文、小説)であったりと幅広く偏りがない、そして理解しづらい本文である。ほぼ全設問が記述なので、普段から高難易度の本文を「読みづらい」と思うことなく読むための練習(具体的な方法は、合否に大きく影響するため外部での公表は控える)を積み、ワークの記述問題に対しても厳しい基準(一言一句模範解答と同じかどうか)で自己採点する、という勉強を積まないとなかなか得点ができない。開成高校は記述の採点基準が厳しいので、自分で〇×を判断しきれない問いは塾の先生に開成基準で添削してもらおう。

 

 

開成高校 傾向と対策 理科 

形式:大問4つ

制限時間:40

満点50

 

毎年大問4つ、生物・物理・化学・地学の各分野から大問1つずつ出題されており知識の抜け、苦手分野は許されない。化学電池においてなぜ電子が流れるのかまで理解する、など、既習の内容を「なぜその現象が起きるのか」という『なぜ』の姿勢で見直すことが求められた出題だ。まだ12年生であったり小学生の場合は、これから習う分野は「ふーん」と受け身で学ぶ姿勢は今すぐやめよう。自分からなぜ?と疑問を呈し、積極的に塾の先生に論理を聞きに行く姿勢で勉強を始めないと、受験直前に焦っても間に合わなくなる。

 前述のとおり、習ったことのある知識に関しても深い論理の理解が求められるが、見たことのない単語、グラフを提示されてその場で読む問題もよく出題される。2020年度では、『心室圧』というテーマで初めて見るグラフの読み取り問題が出題されている。ぱっと見の目新しさで戸惑う人は論外だが、大問1つに10分しかかけられない切羽詰まった中でリード文、グラフを理解し問に正解するのはやはり練習なしには難しいだろう。開成高校入試の理科で足を引っ張らないようにするためには、以下の点を死守しよう。

・低学年のころから『なぜ』を問う姿勢を持つ

・『なぜ』かわからないものは質問する

・中学3年間のすべての学習を、中3の夏までに終わらせる

・すべての範囲の学習を終えた後は、開成高校の過去問、また、同じように初見の単語やグラフを出題することが多い筑駒の問題などの演習を繰り返す

ただ意識するだけでなく、具体的な策を考えて実践しよう。具体的な策が考え付かない場合は、塾の先生などに相談して早いうちから受験で求められる姿勢で勉強しよう。

 

 

開成高校 傾向と対策 社会

形式:大問3つ(地理1題、歴史1題、公民1題)

制限時間:40分

 

地理・歴史・公民が総合としてまとめられ、大問1つ分として出題される。どの分野も知識が満遍なく出題されている。

地理について、世界地理の比重が高い。各国の人口・産業・自然・宗教などが表になって出題されており、それを読み取る問題が多い。各国のデータを細かい数字の差をもとに判断するため、なんとなくの知識では解けないので、必ず統計資料は正確に読み取る練習をし、慣れてきたらテーマごとに自分で資料を作ってみるとさらによい。また、話題になった地域が出題されることもあるので、時事問題も追いながら、場所を必ず地図上で確認する習慣をつけよう。

歴史について、学習が疎かになりがちな世界史からも問題が多数出題される。特に日本史と世界史との関わりは5年以上連続して出題されているので、必ず押さえておきたい問題である。特に中国や朝鮮との関わりが古代の大和政権の頃からも含めて何度も出題されている。中国史や朝鮮史は王朝の移り変わりはもちろんのこと、どの地域にどの王朝があったのか、誰がその王朝を統治していたのか、その王朝があった時代に日本は何時代であったかということまで完璧に覚えておこう。また、2020年の問題では、カリカットの位置が問われる問題が出題された。カリカットがインドにあるという認識だけでは解けない問題になっているので、中国や朝鮮のみならず、世界史で出てくる重要な地域は必ず地図上でどこにあるのか確認しておこう。

公民について、日本の経済・憲法、国際政治から出題されることが多く、これらは5年以上連続して出題されている。日本の憲法の対策については、難関高校受験で必須となる主要な条約・法律・憲法の条文を予め塾でもらっている資料集などで確認することが大切である。国際政治などはその年に話題になった国のことについて聞かれることが多いため、高校受験用の時事問題をまとめた記事にしっかり目を通しておくことが必要になる。